カグラオーナーのフランス滞在記 3 始まったフランス修行 編


 

次の日からさっそく出勤。 

 

いつも初出勤は緊張しますね。

 

 

スタッフはサービス2

調理3

洗い場1名 

 

フランス初出勤して分かったんですが

 

日常会話はともかく

 

厨房内の仕事の会話は

あまり問題ないな、と。

 

 

というのも日本で怒られまくってた

レストランでは厨房内の単語、連語、

調理技術用語、スタッフへの呼びかけ

 

ほぼフランス語だったんです。

 

 

怒られまくって小突かれて

必死に覚えた専門用語が

通じたんですね。

 

これには助けられました。

やっぱり

無駄なことなんてないんです。 

先輩に感謝です。

 

 

僕のフランス語の発音は

最悪だったと思いますが

 

フランス人コックと日本人コックは

関わりが深いこともあって

僕の下手なフランス語を

勝手に解釈して

理解してくれるんですね。 

 

 

聞き取る方は耳が慣れてくるんですね。

なんて言ってるかは

なんとなく分かるわけです。 

 

 

シェフ(料理長)も僕に教える時は

話ながらやって見せてくれたんで

1度教わったらできました。  

 

 

でもやはり驚くのは文化の違いです。

 

 

洗い場のスタッフは

アフリカ移民のカヌテ君。

身長188㎝。 

 

忙しい営業時間中に

突然いなくなるんですよ。

 

 

『あれ?シェフ、カヌテ君がいない』

って言うと、 

 

 

シェフ

『今は地下でお祈りの時間だ』

   

『カヌテ君はイスラム教徒だからな』 

 

 

そんなのありー? 

  

 

カヌテ君のロッカーは開けると

祭壇になっていて

時間になるとお祈りしてました。 

 

 

そして

決して邪魔をするなと釘をさされ。 

 


さらに、

『賄い(食事)

間違って豚を食わせたら 

本当に殺されかねないから

気をつけろ』 

 

 

まじかー! めんどくせー!

 

 

思いましたね。 

 

 

カヌテ君は今までの日本人コックに

少し日本語を教えてもらってるようで

 

僕のことは 

 

『オニー』(お兄さん)と呼んでました。

 

 

カヌテ君 

   『オニー。賄い。豚。ダメ。』 

 

   『オニー。ピザ。好き。』  

 

 

僕 

『カヌテ君、わかった。OKだ。』 

 

 

でピザ作ったりしてました。  

 

  

 

出勤は朝8時。 

 

厨房にラジオがあって

毎朝他のスタッフと聞いてました。 

(とはいえ僕は理解不能でした)

 

 

ある朝、 

 

 

ラジオから

いかがわしい、

いやらしい

女性の声が流れてくるんです。 

 

 

   

 

・・・・?なんだこれ? 

 

  

 

他のスタッフは真剣な表情でラジオを聞いています。 

 

 

それから男性が何かしゃべって、 

 

また別の女性のいかがわしい

まったくけしからん声が

流れてくるんです。 

 

 

8時ですよ? 

 

 

後でわかったんですが。

 

 

 

『あえぎ声選手権』 

     

 

でした。 

 

 

『これがフランスかー!』 

 

 

思いましたね。 

  

 

ガッチガチの職人気質の中で

仕事を覚えてきた僕にとって

衝撃でした。 



 

でもラジオチャンネルを

外国人で新入りの僕が変えるなんて

できないので仕方なく聞いてました。

仕方なく。 

 

  

それからランチ営業があって 

自由時間があって

夜の賄いなんですが。

 

ここでもびっくり。 

 

ワインが大きなピッチャーに入って

テーブルの真ん中に置かれるんです。 

 

 

フランス人それを普通にのむのむ。 

 

  

( まじか、これから営業だよ? )

 

 

 

フランス人 

『ダイシュケもどうだ?』 

(僕の下の名前は大介です)

(フランス語読みにするとダイシュケ)

 

 

フランス人  

 『好きなだけ飲んでいい』  

 

 『でも気をつけろ』  

 

『飲んでもいいがそれで何かあったら

 責任をとるのはオニーだ』

 

  

 

さすが個人主義! 

 

 

僕は酒が弱いのでやめときました。 

  

 

やはり外国。 

 

日本とは根本から違う。 

 

 

 

とにかく初日から驚きの連続。 

 

 

個人主義 

 

そして実力主義  

 

  

仕事ができるなら

外国人でも厚遇されます。

 

でも

外国人だからと遠慮もしない。  

 

 

 

なんて気持ちのいい国なんだ 

と思いました。 

  

 

つづく